内痔核(いぼ痔)
肛門にしこりができる病気。進行度により5段階に分類される。
痔核(いぼ痔)は、肛門周辺の静脈の血流が悪化し、うっ血することで粘膜や肛門上皮の下にある血管や結合組織に炎症が生じ、腫れあがりできるしこりです。痔核(いぼ痔)は、その重症度によって治療方針が異なります。
内痔核は、患者さんの自覚症状から「排便時に内痔核が肛門から脱出するか」、「脱出する場合、どうすれば元に戻るか」で4段階に分類するGoligher分類を用いて重症度を評価して治療方針を決定します。

内痔核1度
・痔核は脱出しない。
・出血がみられる。
・薬による治療

内痔核2度

内痔核3度

内痔核4度
・痔核は排便時に脱出したまま。
~急性期~

嵌頓痔核
・痔核が急激に腫れた状態、耐えられない痛み。
外痔核(いぼ痔)
肛門の外にしこりができる病気。皮垂、血栓性外痔核に分類される。
痔核(いぼ痔)は、肛門周辺の静脈の血流が悪化し、うっ血することで粘膜や肛門上皮の下にある血管や結合組織に炎症が生じ、腫れあがりできるしこりです。痔核(いぼ痔)は、その重症度によって治療方針が異なります。

皮垂(スキンタグ)
・肛門外の皮膚のたるみ。
・無治療、気になる場合は手術治療

血栓性外痔核
・血栓(血豆)による一時的な腫れ。
・薬による治療。
・痛みが強い場合は手術治療
いぼ痔(内痔核・外痔核)の治療
まずは、保存的治療として生活習慣の改善と外用薬による保存的治療を行います。
①生活習慣の改善
・水分と食物繊維をしっかり摂取し、便秘にならないようにする。
・排便時に過度にいきまない。
・長時間便器に座り続けない。
・無理矢理排便せず、便意が出現してから排便する。
・アルコールの摂り過ぎに注意する。
・長時間座りっぱなしにならない
・身体を冷やさない
・入浴で血流を良くする。
・入浴時に肛門周囲のマッサージを行う。
など
②薬物療法
・外用薬による薬物療法には、坐薬による治療と軟膏による治療があります。
痔核による腫れや痛み、出血を緩和させる効果は期待できますが、痔核の肛門からの脱出を改善させる
効果はありません。
・当院では内服の処方も行っております。
炎症に関係するたんぱく質などを分解する作用により、炎症を抑え、腫れをしずめます。
また、血液の固まりを溶かし、血流の循環をよくします。
通常、痔核・裂肛の症状(出血、痛み、腫れ、かゆみ)の緩解、肛門部手術創の治療に用いられます。
保存的治療だけでは改善しない症例や、状況に合わせて下記のいずれかの外科的治療(手術含む)を行います。
③ALTA療法(ジオン注)
ジオン注は内痔核硬化剤で、注射することで内痔核を硬化させ、脱出や出血などの症状を改善する薬剤です。 ジオン注は効果に持続性があり、根治が期待できる治療法です。

ジオン注の優れている所
・以前では、手術治療しかなかった内痔核3度でも根治が期待できる。
・原則、日帰りで治療ができる。
・手術との併用療法にて切除範囲を少なくでき、痛みや合併症が軽減ができ、日帰り手術の普及に貢献。
・手術困難な抗凝固剤(心臓や脳血管疾患)を服用中の患者様でも治療ができること。
・手術治療のみでは止血が難しい出血病変に対して効果がある。
・手術と併用することで術後出血のリスクが大幅に軽減した。
・効果に対して副反応が少なく、特に重篤な合併症がない。
・手術に対して恐怖を持っている患者様に対して、一定の効果があり適する。
・ジオン注射後でも後日手術ができる。
④吸引痔核結紮器(ヘモパッチン)
吸引式痔核結紮(けっさつ)術では、ヘモパッチンと呼ばれる専門器具で出血している内痔核を吸引し、装着した輪ゴムで結紮(縛ること)させます。
結紮された内痔核は、早い人で3~4日、通常は約1~2週間で壊死して脱落します。
その後小さな潰瘍を作って治っていきます。ゴムが外れる際に少量の出血がみられることがありますが心配はいりません。外れたゴムは便と一緒に排出されます。

⑤その他外科的治療法
・結紮切除術
・PPH法
・分離結紮法